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  公営レースG7(ギャンブル・セブン)  
 〜「公営競技はどこへ行く」Bank of Dream氏と賛成派TOMの定例会談、こっそり開始!〜

■構想2年、申し入れをしたら意外とあっさり快諾をいただいた、公営競技存続業界(なんじゃそら)の重鎮・BOD氏との会談(チャット)企画。ワタクシのわけのわからない勢いに、氏の知識と見識が加わればまさに鬼に金棒、植木にエースモーター、ディープインパクトにカ○ェイン飲料(こら)。公営競技界の明日は俺達にまかせろ! と、行き過ぎた使命感のもと、月2回のペースで公営競技の魅力から売上増への道、諸問題などを語り尽くしてまいります。

★☆VOL.001 『公営競技はなぜ衰退したか』★☆

「記憶に残るレースが少なくなりましたねぇ

TOM(以下T)第一回、よろしくお願いします! 気楽にいきましょう。
Bank of Dream (以下B)なぜ廃れたか? まず、レースの中身を振り返ってみたいですね。
廃れる原因は競争そのものにあると?
まず、ここ数年のレースを見ていても印象に残るレースってあまりないんですよねぇ。
うーん。私の場合、記憶に残るかどうかはブチこんだ金額にも大いに関係するもので(笑)。
確かに儲けたとかいう話だとなくはないんですが、果たしてそれが印象に残るとも言いがたいわけで。
売上はここ10数年で競輪・競艇が半分弱、オートに至っては3分の1になっちゃってるんですが、「記憶に残る名勝負」の数も半分とかになっちゃってますかね?
B:この間、4年前に発売された「20世紀の名勝負」っていうDVDを見たんですが、結構古い映像のやつもあるのにしっかり、「ああ、このレースはこうだった」って覚えているんです。
T:あ、それはありますね。最近CSとかで「昔日のレース回顧」的な企画が増えてきたせいもあるかも。
競馬、競輪だと、昔なら別に馬券や車券を買っていなくとも、擦り切れるぐらいビデオを見たもんですが。
今までで一番印象に残っているレースは?
馬だと1979年の日本ダービー。ま、競馬とのきっかけはそれからということになりますが。
T:昭和54年か…。売上的にも右肩上がりの頃ですわね。競輪・競艇・オートでは?
B:競輪のグランプリも第一回から。そうですねぇ、90年あたりまでは確かに面白かったですね。
T:私は競輪なら中野浩一引退の宮杯、そして滝沢(正光)先生が逃げ切った全ての特別決勝、競艇は…あんまり覚えてないですね。去年の赤城雷神杯は久々に凄いレースを観たという感じはしましたが。
B:競艇はなんでしょうね? オートレースならば逆に最近行われた04年の日本選手権優勝戦やスーパースターあたりはかなり印象に残ってますよ。
T:Dreamさんは「レース好き」ですもんね。私はどっちかとゆーと「バクチ好き」なので、クソつまんないレースでも予想がしやすくて取れればそれはそれで(笑)。
B:競輪のグランプリは91年の大会で3回ぐらいやり直しがあったように記憶しています。丁度中野が出れなくなった一戦ですが、さすがに3回もやり直しとなると辟易してしまいました。
T:そういうことの方がヘンに記憶に残ってしまうという。確かに競輪の落車や競艇のフライングなんかのほうが記憶に残ってるかも(笑)。
B:思うに競輪のグランプリは91年が分岐点だったように感じます。確かにその翌年、吉岡が優勝したけど、だんだんレースの品位ってものが落ちてきているような気がしたんですよね。
T:GPの品位…とは、言葉にすると?
B:最初の頃のグランプリってのは、とにかく9選手が勝つことも大事だが、皆が全力を出し切り、その結果着順がついてくるといった印象が強く、したがってそうなると力が強い選手が結局は「勝ったのか」っていうことになった気がしたんですが、だんだんそうではなくなってきましたね。
T:なるほど。私なんかはGPは年末のお祭りだと思っているので。お祭りはある意味下品な方が面白いじゃないですか。だから選手的にもGPに向けて「獲るためならなんでもする!」みたいな雰囲気が見えた方がこちらも燃えるんですが。
B:しかしながら21世紀に入ってからのグランプリの優勝者って誰でしたっけ? 01年は確か伏見だった? ま、これはたまたま現場へ行っていたから覚えているわけで、他はどうも「覚えていない」ですね。しかも2年続けて買ってないし(笑)。
T:伏見の後は山田・山田・小野・加藤ですが。こう書いてみると比較的下品…というかイヤシイ感じの選手が勝ってる(爆笑)。公営競技で一番人間くさいのが競輪。その中でも最高峰に人間くさいのがGP、みたいな存在であってほしい。そうするとこちらも打ち額が増える(笑)。
B:山田はかろうじて覚えてますね。小野、加藤か。どうやって勝ったのか? うーん、思い出せない。
T:ま、「自在型」っていうのは「下品型」といってもいいわけで。勝つためにはなんでもやるのが自在。小野は神山をどかしてカマした東北ラインの3番手にハマって。そして加藤は小嶋を早々に捨ててイン潜り込んで…
B:そりゃ余計覚えてないわ(大笑)。
T:私見では、レースが記憶に残らないというより、競争形態そのものがつまらなくなったというのは痛切に感じますね。特にオート。一時期のベテラン勢の大量引退で「後ろを抜かせない渋いレース」のできる選手が激減したのが大きい。そして競輪・競艇は度重なるルール変更。

「観客離れの原因は何だったのだろう」

T:ルール変更の話が出たところでちょっと話を動かしますが、売上という金額的なものよりも、観客減ということで考えると、「新規客が少ない」という点ばかりが出てくる昨今ですが、どちらかというと「やってた客が離れていく」ことの方が大きいと思うんですよね。まぁ、お年を召して鬼籍に入られる方々は仕方ないですが。離れる原因はやはりレース形態の変化やルール改正についていけない、というのが大きいと思いますが、いかがでしょう?
B:ま、それはあるでしょうね。特に競輪は(笑)。しかしながら離れていく客というのはどんなことをしても離れていくような気もしますが。
T:個人の経済的事情とか、ね。でも、その人にとって引き続き面白ければ、どうかして種銭を調達して打つと思うんですがねぇ。
B:3番手の選手が勝つケースが増え(95年だったか、高橋光宏が優勝したオールスターがそうでしたね)、逃げる選手の番手についた選手が勝てなくなった、ということがいえるんでしょうね。
T:「競輪は番手」が崩れてきたと。でも、いまだに新聞や放送の解説者・予想者は「競輪は番手です」と断言予想をする。で、当たらない(苦笑)。客からすれば「何を頼りにすればいいんだ!?」という状態ではあります。
B: 但し、今はビッグレースを見ていると大概は番手の選手が勝っています。となると、競輪人気浮上となってもおかしくないわけですが、そうなってないですね。
T:ふむ。そうするとやっぱり…3連単のせいかなぁ。「当たらないので客が去ってゆく」…
B: 競輪だと2車単が導入された時点で相当数離れていったと思います。「こんなクソ難しいもん当たるか!」って。
T:2車単になった時…10年ぐらい前ですね。あの時は「待ってました!」という反響が多かったような気もしますが、結局売上減に歯止めはかからなかった。
B:ま、2車単の導入が直接影響したとも言いがたいんですが、丁度2車単導入あたりから筋違い車券で決まるケースが増え、だいたい全体の3分の2ぐらいがそうなってしまったんです。すると「競輪ってスジが来てなんぼだろ!」という昔からの考えの客が離れてしまったように思います。とにかく、競輪って客の考え方が変わらないっていうイメージが強いですね。
T:そのへんも「人間くささ」なのかなと。競輪競技の持つ宿命なのかもしれませんよ。それならそれで、宿命に忠実に運営するべきなのかもしれないです。若い客を呼び込むにあたっても、そういうクサさを前面に出した方がむしろ興味をそそるのではないかと。
B:なぜ衰退したのか? という本質的な話に入ろうと思うんですが、やはり、時代の流れに応じてあらゆる面において変えていかないと、30年も40年も同じものを維持していくということは難しいことだと思うんです。
T:「時代の流れ」というのは、どうしても他レジャーとの比較になってしまうわけですが。
B:確かにそうですね。長年同じような形で来たレジャーってのは間違いなく衰退してきていますね。
T:で、現況右肩上がりのレジャーといえば、不景気による「安・近・短」傾向も相まって、例えばB級グルメ、例えば日帰り温泉などであったりするわけで。その点、公営ギャンブルは決して悪くない。
B:しかし、理解されてないような気がします。やはり、敷居が高いというか、イメージもいまだよくないんでしょうね。ま、中央競馬がかろうじて敷居が低いかな? といった程度。
T:レース場は広いし、そうした他レジャーを併設・包括する余地は物理的にもある。だから、場内にホントに美味しい飲食店を誘致するとか、スパ施設を作るとか。イメージの良化は「ギャンブル」に対しては無理なので、レース場という場所に対してのイメージを良化させる戦略をすべき。その点JRAはお上手だった。
B:でもやはり、レースの中身が面白くないと客はついてこない気がするんです。いくらグルメがどうとかいったところで一時的なものでしかないでしょう。ある意味、「ミーハー」でもいいから、「この日はここでレースが見たい。できれば買って当てたい」と思わせるようにならないといけないような気がしますね。
T:いくら食い物や温泉で客寄せしても、レースに興味持ってもらわなきゃ売上にはなりませんからね。でも、とりあえずレース場に足を運ばせる(世間的偏見を乗り越えて)ためには、他レジャーのオイシイ所をいただくぐらいでないと。
B:ま、公営競技場ってのは場内の食べ物一つとっても果たして、「おいしい!」という客がどれだけいるのか?ということも考えないといけないですね。しかしながら食べ物だけとってみれば、JRAで「うまい」と唸ったものは札幌のカレーぐらいでしたね。むしろ競輪場のほうがよっぽどうまいものがあります。でも、それが理解されていないところに、JRA以外の競技の宣伝の下手さが伺えますね。

「レース場に来させるための方策あれこれ」

T:いただく、という点では、ギャンブルの中での最大のライバルはパチンコなわけで。そのパチンコに比べて公営レースのマイナス点は「アクセスが悪い」こと。駅前のパチ屋と比べると、いかんせんレース場は遠すぎる。パチンコ客を奪うには、無料バスの増設。しかも、バス乗り場を各繁華街のパチンコ屋の前に置く(笑)。「今日はなんかギャンブルしてぇなぁ」とフラッと来た客を根こそぎいただいちゃいましょう。
B:でも公営ギャンブル場はまだ無料バスという手が使えるからいいですよ。これがサッカー場ならば交通の便が悪いところに結構存在している上に、無料バスなんてものはなし。しかもそのバスってのも、なかなか来ないところも結構ありました。そんなサッカー場でも、来るときは来る。一方、公営競技場にはなぜ来ないのか? そこが問題ですね。
T:うーん、確かに。サッカーは、私はスポーツとして大して面白いとは思わないんですが、やはりマスコミの影響、若い世代に「俺達の世代のスポーツ(前時代は野球や相撲)」と思わせたところが大きい。その点で私が一番思うのはやはり社会・職場における人間関係の希薄化、ということです。昔は仕事場の休日に先輩が後輩をレース場に連れていった。それが今は後輩が「休みの日まで先輩と顔合わせたくないや」となり、先輩の方も「最近の後輩は言うこときかないし、ちょっと怒ればふてくされてかわいくない。こんな奴と遊びたくねぇや」という感じですね。こういう雰囲気を変えていくような宣伝戦略も考えていい。「職場じゃ行き違いの毎日。でも休日のレース場では仲良くなれた」みたいなCM、どうでしょ? やっぱり世間で盛り上がるものっていうのは、良い意味で先輩と後輩の連係ができてるんですよね。
B:確かに、『週間レース』誌に書いてあったと思いますが、昔は企業も土曜日は「半ドン」で、じゃ、もう終わったから午後から競馬へ行こうか? という先輩・後輩の「会話」があったとは思うんですが、今はとくに大企業だと完全週休2日制だし、中小企業だと、土曜日も「メイチ」夕方まで働きます。したがってせいぜい「誘う、誘われる」というのは飲むときぐらいしかないですね。
T:ま、その「飲む」という夜の時間帯に現在はナイターレースがいくつかの場であるわけで。ナイター場の宣伝戦略は、そうした「ちょっと飲みに行くべぇか」という層に足を向けさせるよう仕向けるのがいいですね。
B:ちなみに私はサラリーマン時代、大井競馬場によく行きましたが、上司はいい目で見なかったですね(笑)。
T:上司がギャンブル嫌いだったら仕方ないですよね。でも、存続運動派としては、そんな上司をも巻き込むようにしたい。「折り合いの悪い上司との関係修復をギャンブル場で」というパターンもあるかもしれないし。今の若いバクチ好きサラリーマンに推奨したいですね(笑)。
B:となると、ギャンブルに興味のない人間をどう引っ張り込むか、ですね。但しこういった手はナイターでは使えますが、デイレースで果たして使えるかどうか?
T:デイレースだと…例えば昼間営業に同行している上司・先輩に「早く終わったから、どっか遊びにいきませんか?」とか。逆パターンもあり。上司が「おぅ、まだ会社に帰る時間でもないからちょっと遊んでいかないか?」と。
B:ま、「イントロ」の部分ではそんなところでしょうね。問題はいかにしてリピートさせていくか。但し、勤務時間中に途中でレース場なんて入ってバレたら…今の世知辛い世の中だと「あれ」が吹っ飛ぶかも?
T:公務員は特にヤバイっすね。つい先日も伊豆方面で勤務時間中にネット投票三昧! なんて騒がれたばかりですが。
B:でも「昔だったら」スーツ姿で「サラリーマンが何でこんなところにいるんだろう?」っていう人は確かに「いました」ね。ちなみに私の場合、午前中体調が悪くて会社を休みますが、結局ちょっと寝たら治る程度のものだと分かったら、午後から平然とレース場に行っていたことはよくありましたね。
T:クズですねぇ〜(笑)。しょせんギャンブルなんで、イメージは悪くて当たり前。それは昔もそうで。では売上好調の時代は何が違ったかといえば、打つ側にそれなりのパワーがあった。イメージの悪さなんか関係ないというパワーが。バクチは人間の、特にオトコの本能なんだからそのぐらいで当たり前なんですが。してみると、昨今はオトコ自体のパワーが減退しているということになる。ま、パチンコなどを合わせればギャンブル全体の規模はそう落ちてないのかもしれませんが。でも、ギャンブル数あれど、一番オトコが燃えるのはレースギャンブルだと思うんですがねぇ。
B:そこで肝心な…というか、やはりレースが面白くないと、せっかくあの手この手で入ってくれても、結局逃げちゃうと思うんですよね。昔、つまり「黄金時代」と言われた頃にはそうした「輝き」があったからこそ、とりわけ競輪場などは、ヒラでもぎっしりということにも繋がったと思うんです。今やヒラだと指で、「1・2……」って数える程度の入りしかないですからね。

T:今回は「なぜ公営競技は衰退したか」がテーマだったわけですが、競技的には競輪の話ばかりになってしまいました(苦笑)。私の側からテーマについてムリヤリ結論づけるなら、「レースの白熱度低下」「絶対的イメージの悪さ」「社会の人間関係希薄化」というあたりかと。
B:やはり最初に言いましたが、とりわけどの競技もヒラのレース内容は最低レベルという他ありませんね。ところがこのレベルのレース数がやはり圧倒的に多いわけで、ま、番組面の改革も必要ですが、まずはやる側が自分の能力を最大限発揮してもらいたいですね。そうしないで舐めたようなレースばっかりしているから既存客にまで愛想をつかされる。逆にヒラから盛り上げてやる! の気概が絶対にほしいですね。
T:ヒラ競争に関しては、正直今後も期待できない感じがしますよね。これは競艇なんかもそう。存続させるためにはもうバッサリ切るべきかと。「面白くない」「客入らない」じゃ、赤字を増やすだけで何のメリットもありませんから。唯一メリットがあるとすれば「いつでもやってる」という日程的安心感(笑)ぐらいのもんでしょ。今やヒラ開催に来てるお客は「なんでもいいから、とにかく今日打ちたい!」という中毒患者(…あ、俺か・笑)だけのような気もしますし。
B:しかしながら、私も案外「ヒラ」は好きなんです。とりわけ競輪の。ま、よく大きいのを取らせてもらったこともあるんですが…。
T:ビッグでもヒラでもバクチはバクチですからねぇ。私も個人的にはキライじゃないんですが…。

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【会談後雑感】
●普段から人一倍「レース場のアミューズメント化」を叫ぶ私に、BOD氏の「結局はレース自体が面白くないと」というお言葉はズシリときました。我々が初心者を連れて行っても「どうだ、燃えるだろ!」と自信を持って言えるようなレースを常にしていてほしいもんです。(TOM)
●ファンというか、客の目はどの業界をみても肥えてますからね。WBCで優勝したというのにプロ野球の視聴率が上がらないとかいう話を聞きます。サッカーにしたって日本代表の試合はものすごい視聴率を稼ぐが、Jリーグは言わずもがなとか。とりわけ競輪の話を出したのは「世界への道」がありながらもそれを選手も業界も無視しているために損していると思うのです。もはや、「ギャンブルの王様」という売りだけではダメな気がしますね。ただ「アミューズメント化」という概念も大事なことだと思います。その話はTOMさんに任せます。(Bank of Dream)

                      
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