公営レースG7(ギャンブル・セブン)
〜「公営競技はどこへ行く」Bank of Dream氏と賛成派TOMの定例会談〜
■第二回目にして早くも核心! 廃れゆく公営競技に復興の目は残されていないのか? いやいや、こんな面白いモノがそう簡単になくなるわけはないでしょう、という確信のもと、共に公営競技ヘビーユーザー同士がその策を語り合う。
★☆VOL.002 『公営競技を普及させるには』★☆
「メジャースポーツのプロ野球・サッカーに学ぶ!?」
TOM(以下T):では本日は予定通り「公営競技を普及させるには」ということで。前回のように「こうだったからダメになった」という過去論は極力ナシにして、現在をスタートと考えた話をしていきたいです。
Bank of Dream (以下B):結構今回の題は難しい気がします。
T:別に模範解答を導き出す必要はないと思いますので、お互いに考え付いたことを出し合うような感じで。
B:ま、公営競技以外の話から進めていったほうがよさそうですね。
T:ほほう、例えば何の話からいきますか?
B:普及させるという概念は、今やプロ野球でもやってますね。
T:プロ野球ね。「若い世代が興味を持たなくなってきた」という点は同じ。
B:プロ野球は今でも私は興味がないんですが、とにかく、実質プロ野球こそが日本の国技なんだ、ということに胡坐をかいていた気がしますね。
T:え、日本の国技って競輪じゃないんですか(笑)!? 私も学生時代ぐらいまでは野球が一番好きなレジャーでしたが、今やほとんど興味ナシ。たまに興味を持つのは新庄とか清原とか、目立つ選手が何かやった時ぐらいですかね。
B:ま、私もなくなった親父が南海好きで、母親は巨人、それと亡くなった兄貴は阪神ファンでしたんで、その流れからいって今でも野球に興味がないとはいえないんですが、なぜ野球が私の性に合わないかというと、決着がつくまでの時間が長すぎるんですよねぇ。
T:特に昔から人気薄だったパ・リーグのチームなんかは、子供のファン層を広げようと、だいぶ昔からファンクラブを組織したりはしてたんですがね。おっしゃった時間の件も、野球場にいるとそう長くは感じない。でもよっぽどファンの球団の試合でもない限り、TV中継で最初から最後まで観るのはキツイですね。夜中のスポーツニュースで十分。
B:私自身が野球に興味がないもんだから、たとえばサラリーマン時代、帰りが遅くなることを見越し野球の後番組を録画していたんですが、帰ってみてみたら、「なんじゃこりゃ!」。「くそ、また野球のせいか!」と怒り心頭になったケースは数知れず。
T:わははは、その話はよく聞きますね。だもんで、ちょっと前に(今でもあるのかな?)野球延長を見越した留守録設定を自動でしてくれるビデオデッキがあった。でも、公営競技はものの数分で決着がつくので打ってる方としても話が早くていいんですが、野球賭博とかやってる人は試合時間4時間とかになるとイラつくでしょうね(笑)。
B:それと、たとえば私が住んでいるところに「サンテレビ」がありますが、競馬中継がよく阪神戦で潰れるケースがあります。「せっかく週末休みで競馬を楽しみにしているというのに、何で野球で潰されないといかんのじゃ!」という声も少なくないようです。
T:なるほど。なんだかんだでTVはまだまだ野球優先ですわね。で、最近のプロ野球界はどんな普及策を実行していますか?
B:ま、私自身、プロ野球のことをあまり詳しく知っているわけではありませんが、とにかく「ファン寄り」というか、かなりファンの目線に近い部分でいろいろと何かやっているみたいですね。とりわけキャンプのときなんか、選手が子供たちと一緒に「ジャンケン大会」なんてやってましたよ。
T:公営競技でも普及策の一つとして「スター選手の育成」ということは言われますが、やっぱり野球も華のある選手・監督が必要で。今のところ選手はそこそこだと思うんですが、監督がねぇ。去年までの堀内とか、今の野村とか、あんな暗いオッサンが監督じゃ見る気が失せますね。勝った時の監督の嬉しそうな顔って、ファンは見たいものなんですよ。ロッテのバレンタイン監督ぐらいのオーバーアクションでしかるべき。
B:普及ということについていえば、一番参考にしてほしいのはやっぱり、「サッカー」でしょうね。というか、Jリーグが日本のスポーツを変えたといっても過言ではないですね。
T:Jリーグの発足の時ってすごかったですもんね、なにか「絶対にこれを流行らせてやる」みたいなパワーがあった。マスコミも一緒になって。前回も書きましたが、とにかく若年層にアピールしてましたよね。「野球・相撲はもはや前時代のスポーツ」とでも言いたげな感じだった。
B:一番肝心なことは、企業名を排除したこと。さらに、「ファン」という言い方ではなく、「サポーター」という言い方としたことですね。客も間接的にプレーに参加しているんだ、ということを川渕さんが植えつけました。
T:それは確かに。応援にも海外風(顔にペインティングしたり)がすぐ定着しましたもんね。かたや野球は、応援も旧態依然というか、応援団が鳴り物をドンチャカやって応援を強制…。野球場に行くとあれがうっとおしくて。
B:野球といえば、今でもプレーする側と観客というのは「分離した」考え方に基づいていますからね。もっとも、アメリカの考え方はこうなんですよね。欧州は違う。
T:では、公営競技もお客を「サポーター」と呼ぶことにしましょう。一人平均2万も3万も使うんだから、サッカーの入場料と比べても大したサポート度(笑)だと。
B:そこなんですよねぇ。公営競技って客がカネを投じて賭けてくれないと成り立たない競技。なのにいまだ、プロ野球業界の意識みたく、「客は客。俺たちは俺たち。」みたいな考え方がはびこっているんですよねぇ。
T:勝利者インタビューや何かでは「応援していただいたお客様のおかげで」とか一応言うじゃないですか。その言葉通りに業界の体質も改めよ、ということですわね。
B:その話には「まゆつば」があるんですよねぇ(笑)。そうではなくて、心から客のことを今の公営競技の選手はもとより、運営する側が考えているかどうかでしょうね。
「運営側・選手・メディア…各々がするべきこと」
T:でもね、スタンドのお客は「この楽しい公営競技を選手・お客様一体となって盛り上げていきましょう!」と呼びかければそれなりに良い反応を示すと思うんですよ。それなのに客集めの方策はラッキーカードとか、各種ショーとか、一方的にモノを与えるようなものばかり。これじゃいつまで経っても一体感は生まれません。
B:ま、そういうやり方もあるんでしょうが、やはり、プレーする側、運営する側が真摯に客のことを考えていないとダメな気がしますね。その真摯さというのは、さきほどTOMさんがおっしゃっておられたように、「スター」が出てくることに他ならないんですよねぇ。
T:今回の競輪の選手育成制度改革では、スター選手を育てあげようという意図が強くなっていますが、どう思いますか?
B:この間、一宮競輪の寺澤アドバイザーと長時間話してまして、私もその話をしたんですが、寺澤さんは否定的だったですね。「スターというのは育てあげるものではなくて、自らの手で作り上げるものなんだ」と。
T:脚力は育成できても、「華」のようなものは自分で磨いた中からしか出てきませんからね。
B:競輪だとなんと言っても「中野浩一」という立派なお手本があります。したがって中野さんに倣えば、スターがどうのこうのなんて言う必要がないのに、なぜか倣う選手がいない。
T:世界選10連覇は倣おうとしてもムリだ(笑)。でも「競輪でも一流、世界でも一流」になれそうな素質を持つ選手はいないこともないような気もします。
B:そうした逸材は確かに競輪の場合、いまでもいないことはないんです。ところが取り巻き連中が「ダメ」なんでしょうね。結局「出る杭」を打ってしまう。これはさきほど話を出したサッカーがそうなんですが、Jリーグが始まる前までの日本のサッカーって、何の目標もなく、ただサッカーで会社に入った、大学に入ったという意識の選手がほとんどだったんです。したがって、ワールドカップなんて「夢物語」。しかし、今や日本のどのサッカー選手も、「日本代表になってワールドカップでプレーしたい。」といいますね。
T:選手のそうした意識(世界を目指すぞ!的な)がオーラとなって出てくるわけですね。レベルは低いかもしれませんが、現在の公営各競技で華のある選手ってどのへんですかね? 私は競輪ではまだ吉岡稔真を超える選手がいない、競艇では山崎智也・植木通彦(素人向け)、今垣光太郎(玄人向け)、オートも競輪同様、片平巧を超える華が出てこない、と思いますが。ギャンブルレーサーにとっての「華」ってそもそも言葉にすると何なんでしょうね。
B:それは常時「勝つ」選手でしょう。
T:一言ですね(笑)。最上級のレースで単勝オッズ1倍台、ぐらいの感じですかね。
B:ま、そこまで極端ではなくとも、負けても「こいつでもたまには負けるときがあるのか」という意識を客に持たせる選手ですね。
T:あと、昔と比べてメディアが発達した現在では、強いだけじゃなくて人間性も大事だと思いますよ。インタビューで仏頂面してマトモに答えないような選手は勝っても支持はされない世の中。中には「それが職人っぽくていい」と好意的に受け止められるキャラもいるにはいますが。
B:それはいえますね。やはりこれだけ情報が高度化してしまうと、勝ち負けをはっきりと分析できるよう、選手も努めなければなりません。そういった意味では、私が思うに、今それができているのは武豊ぐらい。武豊は常に人気馬に騎乗するからマスコミも常に追っかけるし、それなりの話を用意しておかねばならないんですが、ちゃんと答えてますよね。
T:選手と、あとはメディアね。常々言ってるんですが、競輪予想紙で自力選手の「自力。」ってコメントを載せてなにか意味があるのかと問いたい。「コイツが自力なのはわかっとんじゃい!」でしょ。プロ記者なら、もっと突っ込んだ取材をして、せめて「先行基本。捲りは非常策」ぐらいまでは載せてほしい。「先行80%、捲り20%」とかでもいい。「作戦をバラす馬鹿はいない」という意見もよくありますが、ウソでもいいんですよ。それが度重なれば、それはそれで「アイツのコメントはウソが多い」というデータになるので。とにかく、予想ファクターを与えて打たせるための役割をするべきメディアが情けなさすぎる。
B:競輪マスコミといえば、熊本のあのお方が代表的ですが?(大笑) ま、あの方の予想といえば、結構、「今日こそはこの選手はやるでしょう!」みたいな形で印をつけているケースが目立つんです。展開とか力関係とか関係なしに。ま、それでいいという人もいるんでしょうが、私からするとそういった形で予想されるとかえって迷いが生じて、当たるものも当たらなくなるような気がします。
T:あの方も、そんなに競輪の前途を憂えるなら、まずご自身の紙面で日本一詳しく役に立つ選手コメントを取材・掲載していただきたい。
B:思うに、今の公営競技のマスコミ連ってのは、あまりにも関係者側に擦り寄りすぎてますね。とにかく、持ち上げることしかやらない。私がブログでもよく取り上げる「昔の」月刊競輪の編集長だった深大浩二さんは中野、井上といったBIG2にも全く容赦なくて、常に「こんな戦い方ではダメだ。」というように書いてましたね。でも、私はそうした見方をしてくれたほうがありがたかったです。そんな深大さんみたいな人がすっかり公営競技マスコミにいなくなったんで、私が深大さんの「真似事」のようなことをして、とりわけ競輪選手については真っ向否定するかのような話をいつも書いてますが。
T:なるほど、Dreamさんの辛口にはそういう意図があったんですね。私の辛口はどちらかというとメディア・運営側に向けられることが多いのですが。
B:競艇、オートレースはわかりませんが、競馬にも非常に厳しい見方をする人がいましたね。「大橋巨泉」とか。でも、今やそんな人はこの世界では生きていけないのかもしれません。
T:選手コメントといえば頭にきたのは、先日の川崎記念準決勝で有坂直樹(秋田)が「伏見くんに気持ちよく決勝に乗ってもらいたかったので差さなかった」と言ったこと。伏見まで一緒になって「有坂さんは差さなかったんですよ(笑)」ですと。有坂アタマで買ってた客は本当にバカにされたような気持ちでしょうね。でもそれをきちんと載せた新聞は褒めたいですが。
B:有坂や伏見も言ってはならないことを言いますね。でも、そんな有坂や伏見を非難する人がなかなかいない。そこが公営競技の一番の問題点だと思います。
「『オトコの遊び場』で売るのがベスト!」
T:とにかく、運営側がマスコミの物言いを圧殺するような考えではどうしようもないですね。巨泉氏が『11PM』で競馬を扱ったのは、競馬がナンバー1ギャンブルになる大きな布石だったな、と今でも思います。何より「オトコ向け情報番組」で扱ったのが大きい。私的には最近嬉しかったことが二つありまして。まずは日自振・下重会長の「競輪場は男が集まる場所でいい」という発言、それからインターネットTV「GyaO(ギャオ)」でのばんえい競馬完全中継番組(あの野田社長がプロデュース)の開始。これは共に、初心者を呼び込むための大きな動きとして期待できると思っています。ばんえいに関しては、今月後半から全国ロードショー開始の映画『雪に願うこと』も期待大です。
B:そもそも、昔から男が集まるところには「女も」集まりますからね。ところが今公営競技がやっていることといえば、まず「女ありき」でしょう。別に女性蔑視というわけではないんで、そのあたりはしっかりと受け止めていただきたいんですが。
T:あ、それは私もいつも書いてますので決して誤解などは。下重発言を更にフォローするなら、女の顔色ばかりうかがってオトコの溜まり場がなくなった昨今こそ、公営レース場を売り込んでいく絶好の可能性がある。今までの女子供向け的なイメージ戦略をきっぱり止めて、ムンムンのオトコの集まる遊び場、のイメージで売っていくのが絶対にいいと思います。
B:「女向け」の話でいえば、「CanCam」のモデルの「エビちゃん(蛯原友里)」が女性には大人気ですが、男には案外人気がありません。ところが男のスターだとます「女」が真っ先に持ち上げることが少なくない。つまり、女を売りにするよりは、男を売りにしたほうが爆発的な人気を呼ぶような気がするし、案外「廃れません」ね。
T:バクチはオトコの特権、ミーハーはオンナの特権、ということですよね。特権じゃなく、領域と言い換えてもOK。これは性差別でもなんでもなく、そういうものなんですよ。もう自然の摂理。だからバクチ場に女子を呼んでも売上にはつながらない。まぁ、イケメン選手を目当てに女子がレース場に集まれば、それ目当てに来る男も増えるかもですが(笑)。でもナンパ目的の男もまた、売上には貢献しそうにない(笑)。
B:しかしながら、公営競技って日本では本当に数少なくなった「男の遊び場」ですね。もしこれがなくなると単純に結果だけが全てといった風潮になりかねない気がします。つまり、「批判精神」というものが嫌われ、挙句に批判すること自体やらなくなる。今、テレビが面白くないとよく言われる理由の一つとして、常に「女の視線」にばかり拘った番組が多く見受けられることが挙げられると思います。つまり「軽薄短小」な番組の粗製乱造状態。とりわけ、制作費も安価な「バラエティ番組」の横行は明らかに男を意識した番組ではないですね。
T:私が「公営競技の味方」をしているのは、自分が好きだからというのがもちろん一番の理由ですが、男の遊び場がなくなってしまった現代日本をどうにかしたい、というのも正直結構ありまして。広告屋さんにもそのへん考えを改めてもらいたい。なんだかんだ言っても普及・宣伝のカギを握っているのは広告…なんですが、決定権を持っている上部団体のオッサン方は何のセンスもポリシーもなく「いいんじゃない、それで」という感じらしいので、広告代理店の現場の方々に言うしかない。でも広告代理店といえばミーハー文化の先頭誘導員みたいなもんですからね(苦笑)。
B:一方でその広告代理店というのも、「女」を食い物にしているんですよねぇ。
T:食い物、とは?
B:「女」で商売できる、ということなんでしょう。
T:まぁ、バブルの頃から「若い女をターゲットにすればモノは動く」というのはありましたがね。ただ、全部が全部そうじゃないはずだし、公営競技に関して「いや、これは男をターゲットにしたほうが面白い(するべき)」という感性が全く向かずにここまできた、というのはあまりにも貧困というか。ちょっと文化論めいた話になりますが、やっぱり大人の男が愉しめる遊びというのが、その国の文化にとって一番大切なものなんだと思います。「公営競技の衰退は日本文化にとっての危機!」とまで言い切れますね。個人的には。
B:確かに。いい加減、そのあたりに広告代理店あたりも気がつかないといけませんね。ところで今や広告代理店の影響力ってのも、バブル時代と比較すると相当に落ちているみたいです。その時代ならば「俺たちが日本をプロデュース」しているという意識があったのに、今や「私のところにも話をつけさせてください」という感じに成り下がっているみたいですからね。だとするとTOMさんが言われるようなことは今は「チャンス」だと思いますね。
T:だから、競輪だけでなく、全競技の運営団体が一致団結して「レース場は男の遊び場」という宣伝を打ってほしい。あとTVコマーシャルでいえば、いまだに「レース映像を(実速で)流してはいけない(以前のオートCMみたいにスローならいいんですと・苦笑)」というわけのわからない内規などがあるらしく、そんなのもさっさと撤廃すべき。なぜレース映像を流すことが「いたずらに射幸心を煽る」ことになるのか? 誰も説明できないんだから。
B:それと私が主題としている「中身」の問題についても、公営競技がバブルの恩恵を受けていた時代以降、まるでできてませんからね。そうしたことをやっているのは結局「ファンレベル」だけ。ま、ブログができたことで自由にモノがいえるようになったんで重宝しているわけですが、常に厳しい見方というものをしていかねば、公営競技に限らず、他のどの業界も衰退していくと思いますね。
「レースの成立は大前提!」
T:まぁ「大量落車ウイークリー」なんてのが毎週豊富なネタと共にお送りできるようじゃダメですわね(笑)。
B:あのコーナーには「賛否両論」があるみたいですが(笑)。
T:ほほう、「否」なご意見もあるんですか? 個人的には意味合いはどうあれ、落車シーンをまとめて見られる、というだけでデータ的&エンターテイメント的価値があると思って拝見していますが。 だいたい、不成立レースの映像をダイジェストから外すという施行側の感覚の方が理解できませんね。
B:私もオートの不成立レースをオンデマンドから外すということについては怒りを覚えますね。特に、浜松の大エース・伊藤信夫がなぜ大怪我したのか? 誰だって知りたいわけですからねぇ。
T:「かわいそうで見ていられない」というような意見があるんですかね。なら見なきゃいいだけの話ですが。選手に対する戒め・反省の意味でも公開すべきだと思いますよ。
B:それと競輪大量落車をなぜ取り上げるようになったかというと、とにかく選手がレースを分析するのがへたくそになったと思ったからです。そもそも、大量落車が発生するケースというのはだいたい決まっています。にもかかわらず何度も同じことを繰り返す。客のことを真摯に考えているんだったら、絶対に二度と同じ事を繰り返すまい、と思うはずです。
T:だから映像も反省の意味でも流すべきなんですよ。あと、客側に「この選手達というのは大変な戦いをしているんだ」と襟を正させる意味もある。この前の競艇名人戦の準優勝戦で東京の柾田選手が転覆、大怪我をしましたが、ライブ中継では転覆直後に水面に浮かんでピクリともしない選手の姿が映った。見た瞬間は衝撃でしたね。もちろん「凄いことをしているんだ」というある意味感動的衝撃でしたが。それを、ダイジェストではカットしていた。なぜ? と解せない気持ちでしたね。ところで、先程の「否」なご意見というのは、どんな人がどんなことを言ってくるんですか?
B:「落車を食いものにして茶化している」という意見がありました。
T:へぇぇ、その曲解ぶりはすごいですね。だいたい、落車を食い物にしたってこっちには何の得もないし。まぁとにかくモノの本質もシャレもわからないクレーマーみたいな人ですわね。
B:それと、「落車したほうが悪い」という意見もあります。私のコーナーはとにかく落車させたほうが悪い、大量落車レースなんて恥、という論調ですから、そのあたりで「おかしい」と思う人もいるんでしょう。
T:私はどっちが悪いかは完全に場合によると思います。ただ「大量落車は恥」は確かにそうだし、それがひいては客離れの原因の一つ、と言っているわけで。
B:ところで昔は競馬も落馬が多かったんです。昔のダービーの映像を見たら、毎年のようにスタートで落馬しているシーンも見受けられました。ところが今やダービーなどの大レースではめったに落馬事故などないですよね。なぜか? これはやはり当時の競馬ファン、マスコミら競馬を見守る立場の人々が、「落馬したら馬券は一瞬にしてパー。果たしてそんなことでいいのか。」という意見が多勢を占め、競馬関係者もとにかく落馬なしのレースに努めるようになったからだと思うんです。そういった意味からも、まずは全ての競技者が完全にレースを全うし、その上で優劣をつけるというのは基本中の基本だと思います。
T:そろそろ今回のまとめをしましょうか。前回お願いした「各競技別の普及策」は今回の話を踏まえて次回、ということで。私の方から箇条書き的にまとめると総論的普及策としては…
●今後はお客を「サポーター」と呼ぶこと
●選手・マスコミはより高精細な情報をファンに与えるべく努力すること
●レース場は男の遊び場、と宣伝すること
●落車は罪悪。レース成立に対する意識を高めること
といったあたりかな? かなり瑣末なものも混じってますが(笑)。あと何かありましたらお願いします。
B:それで異論はないです。
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【会談後雑感】
●レース場は大人のオトコの場所。もちろん宣伝もオトコ向けにすべし、という以前からの主張に、徐々に実現の動きが出てきた昨今。ようやく目覚め始めましたね、業界の皆さん! 野田社長(←女性のお色気で商売している方)が、公営競技(ばんえい競馬)に目をつけたのも、単に「ばんばは面白い」だけでなく、「このレース場というオトコの遊び場は自分の商売にとってもオイシイ」という発想が働いたから、に間違いない。こういう方々もウマイこと取り込みつつ、さぁ、これからでも遅くはないのでムンムンの野郎どもをレース場に呼ぶ行動を開始しましょう。そして選手・競争関係者の皆さんは、そんな野郎どもが燃え、ガンガン打つようなレースを提供するべくハッスルハッスル!(TOM)
●今回のテーマは最初結構難しい気がしましたが、案外第一回よりも話の内容としてはまとまった気がします。特に公営競技は今や数少ない、「男主導」の業界なだけに、だったら男の視線で物事を考えていくべきだと感じました。競馬の騎手や競艇の選手に女子がいますが、彼女たちだって「男に勝ちたい」という気持ちがあるからこそ、日々精神を鍛錬しているんだと思います。まずは男を前面に出し、女についてきてもらえるような形の作り方のほうがいいと思いますね。(Bank of Dream)
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次回予告:「公営競技を普及させるには?《各競技編》」 5月下旬更新予定。お楽しみに!
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